この記事では「LEDテープを使った光る衣装」を実際に作成していきます。自分で作成してみようと思っている方向けの記事となります。とても長い内容になりますので、3回くらいに分けて連載していきます。
まず初めに、この記事で作成するのは以下のような衣装です。LEDはフルカラーで、点灯パターンを赤外線リモコンで変えることができます。根気さえあれば、中学校卒業レベルの知識で作成することができますので、ぜひ挑戦してみてください。
さて、第一回目となる本記事は、以下の構成で記載されています。読み物として閲覧されている方は、前提条件を飛ばして 2. 光る衣装の作成作業 にお進みください。
- 前提条件
- 必要スキル
- 用意する材料
- 必要な工具
- 光る衣装の作成作業
- LEDテープ貼り付け位置のマーキング
- LEDテープのカット
- 防水被膜の除去
前提条件
必要スキル
本記事のLED衣装を作成するためには、最低でも以下のスキルは必要です。
- 中学校の図工レベルの半田付けスキル
- 中学校の家庭レベルの裁縫スキル
- オームの法則(ググって理解できればOK)
- 諦めない心
中でも、諦めない心が一番重要です。それさえあれば、他のすべてのスキルをカバーできるはずです。もし諦めてしまった場合は、当ショップ からレンタルしてくださいね。
用意する材料
本記事のLED衣装を作成するためには、最低でも以下の材料が必要となります。
- LEDテープ
- LEDコントローラ
- 熱収縮チューブ Φ8mm
- 配線(AWG24相当)
上記の材料について解説していきます。
■LEDテープ
LEDテープは、モバイルバッテリーなどで点灯させる前提であれば「5v駆動のもの」がよいでしょう。また、IP65等のPVC(ポリ塩化ビニル)などで防水加工されたものを選びましょう。これは防水目的というより、「LED同士の接触や金属への接触によって発生するショートを防ぐ」ことと、「静電気によるLEDの破壊を防ぐ」ことが目的となります。
■LEDコントローラ
LEDコントローラは、フルカラーLEDを光らせたり、様々な点灯パターンでLEDを光らせたりするために使用します。もし、単色のLEDテープをただ点灯させたいだけならLEDコントローラは不要です。購入するのであれば、LEDテープと同じメーカーが出しているものを選択するのが無難でしょう。大抵のLEDコントローラはとても安価ですのでご安心ください。リモコンで制御できるものが1000円くらいで売られていたりします。
■熱収縮チューブ
熱収縮チューブは、LEDテープの切断・接続面を保護するために使います。チューブの色は衣装に合わせて選択するのがよいでしょう。チューブ径は収縮前でΦ8mmのものを選びましょう。Φ8mmは、ほとんどのLEDテープにぴったり合うサイズです。
■配線(AWG24相当)
配線は、切断したLEDテープ同士を半田付けして接続するために使います。これには耐屈曲性がとても高いロボット向け配線を選ぶのがベストです。しかしながら、ロボット向けの配線はとても高価(たとえば )なので、妥協して「耐熱電子ワイヤー」などを使っておくのがよいかと思います。また、AWG24相当としているのは、「これより太いと衣装を通せない」かつ「これより細いと許容電流を超えて発熱する」からです。
ちなみに、配線に流せる電流の最大値は こちら を参考にさせていただいております。
参考までですが、この記事で使用しているLEDテープ、LEDコントローラ、熱収縮チューブは以下になります。配線は秋月電子で「耐熱電子ワイヤー」を購入しています。
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本記事のLED衣装を作成するためには、以下の工具類を使用します。工具の用途は後述する作業内容の中で説明していきます。
- はんだ/はんだごて
- 温度調整機能付きホットナイフ
- 万能はさみ
- 精密ニッパ
- とじ針セット
- チャコペル
- チャコ消し
- (できれば) 耐熱の指先ミトン
- (できれば) 空気で膨らますタイプのトルソー(マネキン)
- (できれば) キルティング用刺しゅう枠
参考までですが、この記事で使用している具体的な工具類は以下です。が、作成作業 を読む前に購入したり、なんとなくで同じものを購入しないでください。絶対に無駄になります。実際にやってみて「本当に必要だ」「無いと作業が進まない」と感じだときに購入しましょう。
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それでは、光る衣装の作成作業を始めたいと思います。
光る衣装の作成作業
LEDテープ貼り付け位置のマーキング
まずはLEDを張り付ける位置を決める作業からです。完成形をイメージしながら、LEDテープを張り付けたい位置に でマーキングしていきます。LEDテープは切断可能位置が決まっているので、その位置を意識しながらマーキングしましょう。
関節などの屈曲する部分では、LEDテープを区切る(切断する)ようにします。区切る理由としては、関節の曲げ伸ばしなどによってLEDテープが衣装から剥がれたり、LEDテープ内部のパターン(回路)が疲労で切断されてしまう可能性が高いからです。
ある程度マーキングができたら、衣装を実際に着用し、屈曲部分(関節部分など)をLEDテープが通過しないことを確認します。屈曲部分に該当したら、 でマーキングを消して、LEDテープを区切るようにしてください。
このマーキング作業は、ご自身で衣装の着脱を繰り返しながら行うことになりますので、「非常に効率が悪い」と感じるはずです。その場合は を用意するととても効率が上がります。トルソーがあれば衣装を着用させたままで確認&マーキングを進めることができますし、全体を俯瞰しながら作成を進めるすることができます。
また、ビニール製のトルソーのメリットとしては、「激安である」、「空気の入れ具合でサイズ感を調整できる」、「空気を抜けば収納場所に困らない」、「夜中に見ても怖くない(いや、本当に)」などが挙げられます。とはいっても、衣装を1着作るためだけに用意するほどのものでもないですけどね。
LEDテープのカット
衣装へのマーキングが完了したら、それによってLEDテープの長さも決定されたと思います。次はその長さにLEDテープをカットしていきます。前述したとおり、LEDテープはカット可能な位置が決まっています。カット可能な位置の表記はLEDテープによって異なりますが、殆どのLEDテープは以下のような感じです。
LEDテープのカットには を使うのが良いです。なければ裁ちばさみを使っても良いですが、刃こぼれするかもしれません。LEDテープは案外堅いのです。そのためカッターなどを使用すると、うまく切れずに失敗する可能性が高いです。
防水被膜の除去
続いて、カットしたLEDテープから防水被膜を除去していきます。除去するのは配線を半田付けする部分だけです。
この防水被膜の除去が一筋縄ではいきません。カッターで剥がそうとすると、なかなか刃が入らずにとても時間がかかります。しかも綺麗に剥がせません。だからといってホットナイフを使うと、被膜がベタベタに溶けだしてしまいます。
溶けた被膜は冷えても固まらず、ずっとベタベタし続けます。ベタベタさを例えるなら「溶けた水飴とチューインガムの中間のようなベタベタさ」です。これがずっと続きます。洗剤で洗っても全く落ちません。最悪です。
そこで使用するのが
です。はんだごての “こて先” をホットカッターに付け替えるだけで問題ないです。これを 250℃~290℃くらいの温度に設定して使用します。面白いくらいにスパスパ切れ、ベタベタもしません。
ナイフの温度を250℃~290℃と曖昧に記述しているのは、被膜の素材によって溶け出す温度が若干違うからです。温度が低いと切れづらく、温度が高いとベタつきますので、実際にやってみて微調整するとよいでしょう。私は 286℃で使用しています。これは、サっと切らないと少しベタつくような温度です。
ひとまず、第一回目としてはここまでとさせていただきます。次回はLEDテープに配線を半田付けしていこうと思いますが、ここまでで疑問・質問・ご指摘等ありましたらコメントにてご連絡頂けますと幸いです。